近年、大きな注目を集めている「心理的安全性」。
言葉は聞いたことがあっても、その具体的な意味や重要性、メリットについてはよく知らない人が多いのではないでしょうか?
今回は、そんな心理的安全性の意味やその重要性、さらには職場で心理的安全性を高める方法についてご紹介します!
今注目の「心理的安全性」とは
「心理的安全性」とは、グーグルが「生産性の高いチームの特性」の1つとして明らかにしたことで、IT業界にとどまらず幅広い業界で注目を集めるようになった概念です。
心理的安全性が高い場とは、わかりやすく言えば「安心してなんでも言い合える場」のこと。すなわち、メンバーそれぞれが自己開示しやすい場のことを指します。
心理的安全性が重要視されるようになった背景・きっかけ
この心理的安全性が「生産性の高いチームの特性」として重要であることが判明したきっかけは、グーグルが2012年におこなった分析調査「プロジェクト・アリストテレス」でした。
この分析調査で、エンジニアリングの115チームとセールスの65チームを対象に、生産性の高いチームと低いチームにどんな違いがあるのかを調べた結果、次の5つが生産性の高いチームの特性であるとわかったのです。
生産性の高いチームの特性
①チームの心理的安全性が高いこと
②チームに対する信頼性が高いこと
③チームの構造が明瞭であること
④チームの仕事に意味を見出していること
⑤チームの仕事が社会に対して影響をもたらすと考えていること
なかでも、上記の②〜⑤の土台となるのが①の心理的安全性だと考えられています。
というのも、メンバーが心理的安全性を感じられなければ、チームを信頼することはもちろん、仕事に意味を見出すこと、さらには社会に影響をもたらすことも難しくなってしまうからです。
この結果から、生産性を高めるには心理的安全性を確保し、それぞれが自己開示をして自分らしく働ける場を作ることが重要であると判明しました。
心理的安全性の作り方は?安心安全な場を担保するための4つの手法
では、実際に心理的安全性を高めるにはどうしたらいいのでしょうか?
心理的安全性を担保するポイントとしては、上図の4つが挙げられます。
したがって、職場で心理的安全性を高めたいときには、これらを手法として取り入れることをおすすめします。
方法①均等な発言の機会を与える
1つ目は、均等な発言の機会を与えることです。
一般的に、会議や面談が、上司が部下に自分の意見やアイデアを伝える場となっている場面がよく見受けられます。
しかし、心理的安全性を担保するうえでは、立場や権威関係なく、均等に発言の機会を与えられていることが重要です。
方法②他者への心遣いや配慮、共感の姿勢
2つ目は、他者への心遣いや配慮、共感の姿勢。
こういった傾聴の姿勢を意識し、指示・命令したり自分の意見を押し付けたりせずに、相手に語ってもらうことを優先することが重要です。
傾聴による心遣いや共感の姿勢が、心理的に安心・安全な場を作ることに繋がります。
方法③意見を自由に発信できる雰囲気にする
3つ目は、意見を自由に発信できる雰囲気をつくること。
「これを言ったら笑われるんじゃないか」「間違っていることを言えば否定されるんじゃないか」と不安を抱えた状態では、自分の意見を自由に発信することはできません。
率直な意見やアイデアを出してもらうためにも、組織のメンバーを信頼して「何を言っても受け止めてもらえる」と感じる雰囲気づくりが大切です。
方法④すぐに否定しない
4つ目は、すぐに否定しないこと。
これは、3つ目の「意見を自由に発信できる雰囲気」を実現する土台にもなってきます。
上司の立場から部下の話を聴く際は、ついアドバイスをしたり意見を否定したくなる場面もあるかと思います、しかし、そこは一呼吸置いて、相手の言葉を最後まで聞き届けましょう。
すぐに否定せずに相手の言葉を聴き届けることが、信頼性を築き、心理的安全性を高める第一歩です。
ご紹介した4つの手法は、どれもすぐに実践しやすいのが特徴。ぜひ意識してみてください。
心理的安全性を構築するメリットとは?
心理的安全性高めることのメリットは、メンバー間での信頼関係を築けたり、職場の雰囲気を良くしたりするだけではありません。
心理的安全性を担保して「関係の質」を改善することは、生産性を高めて「結果の質」を高めるというメリットがあります。
これをわかりやすく示しているのが、上図の「成功の循環モデル」。
ビジネスでは、結果を出すために直接的に因果関係のある「行動の質」へアプローチしがちな傾向があります。しかし、一見遠回りに見えても「関係の質」を高めることが結果の質を高めること、すなわち成果アップにも繋がるのです。
だからこそ、心理的安全性を確保することは、生産性を高めるうえでも必要不可欠。
成果や結果にこだわるマネージャー層にとっても、非常に大きな意味を持っているといえるでしょう。
心理的安全性を高める研修・ワークショップにも注目!
近年では、職場の心理的安全性を高めることを目的に、研修やワークショップを導入する企業も増えています。
「組織開発プログラム」で見込める効果とその理由
弊社でも、心理的安全性の構築を1つの狙いとした組織開発プログラム「クエスチョンサークル」を提供しています。
このプログラムでは、チームで「問い」を出し合いながら本質的な問題を探りますが、そもそもの前提として、心理的安全性がないと「問い」が機能しないのです。
心理的安全性については、次のような効果が見込めます。
「心理的安全性」に関して見込める効果
・問いが機能する関係性の構築によって、自己開示できる安心安全な場が生まれる
・視点の違いを楽しむカルチャーが生まれることで、健全な衝突ができるようになる
・セッションで生まれた規範によって、職場においても心理的な安全性が醸成される
こうした効果が見込める大きな理由は、このプログラムを通して自己開示できることにあります。
自己開示するためには心理的安全性が担保されていることが不可欠です。安心安全でない場で「自己開示しろ」と言われても、心を開くのは難しいですよね。
しかし、「それぞれの発言を尊重する」「視点の違いを楽しむ」といったグランドルールのもと進めていくプログラム(セッション)では、自然と自己開示しやすい土壌を作れます。
そのため、自己開示しやすい雰囲気づくりのきっかけとして最適なのです。
「組織開発プログラム」で心理的安全性が高まった事例
実際、組織開発プログラム「クエスチョンサークル」を導入したことによる変化について、導入企業からは次のような声をいただきました。
心理的安全性の効果に関する事例
・部下から上司への相談や提案が増えた
・経営会議で社長以外の部長層からの発言が増えた
・相手を信頼し、意見をぶつけ合える関係性に変わった
・素直に意見やアイデアを出せるなど、メンバーが自分らしさを出せるようになった
企業の経営チームなどで組織開発プログラムを導入することで、メンバー間での信頼関係が生まれ、提案が増えたり、自分らしさを出せたりといったメリットが生まれたことがわかります。
「心理的安全性を高めるために、何から始めていいかわからない」という方は、こういったプログラムや研修、ワークショップを活用しても良いでしょう。
※組織開発プログラム「クエスチョンサークル」についてはこちらを参照ください
心理的安全性を知るのにおすすめの本
最後に、心理的安全性についてより理解を深めたい方向けの書籍をご紹介します!
世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法
世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法/ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)
「働きがいのある会社ベスト100」で何度も1位を受賞しているグーグル流のチームづくりとして、チームメンバーの心理的安全性を高め、生産性を上げるためのメソッドを明らかにした1冊。
読み進めることで、チームの心理的安全性を高める方法やマネジャーができる工夫、取り入れるべきアクションプランが見えてきます。
心理的安全性のつくりかた
心理的安全性の計測尺度・組織診断サーベイを開発するとともに、ビジネス領域などで成果が出るチーム構築を推進してきた筆者が、心理的安全性の高い職場づくりのアプローチを解説した1冊。
心理的安全性が「ヌルい職場」ではなく、健全な衝突を生み出す機能であることや、
日本における心理的安全性の4因子(話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎)について、わかりやすく説明されています。
心理的安全性を高めて、より良いチーム組織を目指そう
職場で心理的安全性を高める方法やそのメリット、研修手法についてご紹介しました。
グーグルの調査・分析で明らかになったように、心理的安全性を担保することは、生産性の高い組織チームを作るうえで非常に重要です。
ぜひこれからは、職場で心理的安全性を高めることを意識してみてはいかがでしょうか。
心理的安全性を高める組織開発プログラムに興味のある方は、こちらからお問い合わせください!
※参考書籍
世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法/ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)